2026-10-24

嫌われるのが怖くて、言うべきことを言えない。かといって細かく口を出せば、マイクロマネジメントだと言われる。もうどうすればいいのか、と叫びたくなる。僕がそのヒントらしきものに気づいたのは、中学生のソフトボールのグラウンドでした。

 

「怒る」は自分のため、「叱る」は相手のため

 

まず、「叱る」と「怒る」の違い。これ、意外と混同しがちです。

 

  • 怒る:自分の感情をぶつけること(イライラ解消)
  • 叱る:相手の成長のために、あえて耳の痛いことを伝えること(未来への投資)

 

僕が指導しているソフトボールチームでも、練習中にダラダラしていたり、道具を雑に扱ったりする子には、本気で叱ります。

 

「そんな態度なら帰れ!」と言うこともあります。もちろん、その後のフォローはしますが。

 

なぜならそれは、「チームの価値観(あり方)」に関わることだからです。

 

技術以前に、譲れない土台がある

 

挨拶、礼儀、道具を大切にする心。これらは、技術以前の問題として、絶対に譲れない「土台」です。

 

ここが揺らいでいるのに見て見ぬふりをするのは、優しさではなく「無責任」です。

 

ビジネスの現場でも同じ。遅刻を繰り返す、期日を守らない、他責にする……。

 

こうした「プロとしてのあり方」に反する行動に対しては、嫌われることを恐れずに「叱る勇気」を持つ必要があります。

 

それは、あなたのためではなく、部下の未来のためです。

 

「任せる」とは、失敗させること

 

一方で、仕事の進め方や手法については、口を出さずに「任せる」ことが重要です。

 

でも、これが怖いんですよね。

 

「失敗したらどうしよう」「自分でやった方が早い」と思ってしまう。

 

ここで必要なのが、「任せる覚悟」です。

 

これは、「丸投げ」とは違います。「失敗してもいい。責任は僕が取るから、思い切りやってみろ」と腹を括ることです。

 

打席に入ったら、あとは信じて任せるしかない

 

ソフトボールの試合で、バッターボックスに立った選手に、ベンチからいちいち「グリップを上げろ!」「もっと前で!」なんて叫んでいたらどうでしょう?

 

選手は萎縮して、本来の力を発揮できませんよね。

 

打席に入ったら、あとは選手を信じて任せるしかない。三振しても、「ナイススイング!次はこうしてみよう」と声をかける。

 

ビジネスでも、一度ゴールと期限を握ったら、プロセスは部下に任せてみる。

 

もちろん、致命的なミスにならないよう見守る必要はありますが、小さな失敗は「成長痛」として許容する。

 

「口は出さないが、目は離さない」。この適度な距離感が、部下の自律心を育てます。

 

承認が9割あるから、1割の「叱る」が届く

 

「叱る」と「任せる」。一見矛盾するように見えるこの2つを繋ぐのが、「心理的安全性(承認の土台)」です。

 

普段から「あなたのことを見ているよ」「大切に思っているよ」という承認(9割)があるからこそ、いざという時の「叱る(1割)」が相手の心に届き、安心して「任せる」ことができるんです。

 

  • あり方には、厳しく。
  • やり方には、寛容に。

 

この線引きを持つだけで、迷いがなくなります。

 

叱れないのも、任せられないのも

 

「叱る勇気」を持てないのは、自分が傷つきたくないからかもしれません。

 

「任せる覚悟」を持てないのは、部下を信じきれていないからかもしれません。

 

まずは、小さなことから始めてみる。明日の朝、部下の目を見て「おはよう」と声をかける。そして、何か一つ、小さな仕事を「君に任せたい」と伝えてみる。

 

いま、いちばん言えずにいるのは、叱る言葉でしょうか。それとも、「任せたい」の一言でしょうか。