2026-08-16

 

私はこれまで仕事をしてきて、強く感じていることがあります。それは――組織の力は、足し算ではなく掛け算で決まるということです。どんなに優秀なメンバーが集まっていても、つながり力がゼロであれば、答えは無情にもゼロになります。

 

組織の力は足し算ではなく掛け算

 

公式にすると、こうなります。

 

『 組織の力 = 個人の力 × 個人間のつながり力 』

 

実際、皆さんの周りにもいませんか?「彼はすごい実力者なんだけど、なぜかチームがまとまらない」。その理由は、まさにこの掛け算のからくりにあるのです。

 

個人の力は、自分でどうにかできる領域

 

もちろん、個人の力そのものは大事です。知識を学び、スキルを磨き、経験を重ねる。これは誰にとっても必要な努力です。そして、それを怠れば組織に迷惑をかけることになる。

 

私自身も50歳を過ぎて思うのですが、年齢を重ねてもなお「自分を鍛え続ける姿勢」を持っている人は信頼されますし、周りから一目置かれるものです。

 

要するに、個人の力は「自分でどうにかできる領域」。努力とトレーニングの積み重ねで必ず成長できます。

 

力を孤立させると、成果にはつながらない

 

しかし、ここに大きな落とし穴があります。いくら個人が立派な力を持っていても、それを孤立させてしまえば成果にはつながらないのです。

 

チームの中で斜に構えていたり、仲間を見下すような態度をとったりすれば、つながり力は一気に下がります。掛け算のもう一方が小さくなると、全体の答えもガクンと落ちてしまう。これが「掛け算の残酷さ」です。

 

細い糸も、束ねれば強靭なロープになる

 

逆に、つながり力が高ければ多少の実力差は気にならなくなります。むしろ、お互いの弱みを補い合い、強みを活かし合える。

 

一本一本では細い糸も、束ねれば強靭なロープになるのと同じです。

 

つながり力を高める鍵は「相手を知ろうとする心」

 

では、この「つながり力」をどうやって高めるのか。それはとてもシンプルです。相手を知ろうとする心を持つこと。

 

  • この人はどんなことに喜びを感じるのか
  • どんな場面で不安を抱くのか
  • 何に価値を置いているのか

 

こうした関心を持つだけで、相手との距離はぐっと縮まります。人は「自分を理解しようとしてくれる人」に心を開くものだからです。

 

不思議なことに、相手を知ろうとする心は、自然とこちらの魅力や信頼にもつながります。「この人は自分を見てくれている」と感じれば、人は安心し、前向きに協力してくれるようになるのです。

 

今日からできる小さな一歩

 

「つながり力」と聞くと、大きなことをしなければならない気がするかもしれません。でも実は、日常の小さな一歩から始められます。

 

  • 相手の話に耳を傾ける
  • ちょっとした変化に気づいて声をかける
  • 感謝を言葉にして伝える

 

そんな些細な行動が積み重なって、やがて大きな信頼とつながりを生み出します。

 

両方が掛け算されて、はじめて

 

個人の力は、努力とトレーニングで磨ける。つながり力は、相手を知ろうとする心で育てられる。この二つが掛け算されて初めて、組織は本当の力を発揮できます。どちらか一方ではなく、両方を育てること。

 

ほんの少し、隣にいる仲間に関心を持ってみる。その一歩が、組織の力を何倍にもする始まりになるのだと思います。

 

あなたは、隣の人が何に喜び、何に不安を抱くのか、どれくらい知っているでしょうか。