2026-10-10

部下の中に、妙に“できる感じ”を出す人、いませんか。会議でも少し胸を張って、自信満々に話す。「前にもやったことあります」と言い切る。正直なところ、最初は少し引っかかるんです。「なんか自信過剰だな」「もう少し周りを見てほしいな」と。

 

がんばってる人ほど、背伸びをしてしまう

 

でも、管理職になって数年たった今では、それも一つの“防御反応”なのかもしれないな、と思うようになりました。

 

がんばってる人ほど、背伸びをしてしまう。「任されたい」「信頼されたい」という気持ちの表れなんですよね。

 

有能アピールは「怖さ」の裏返し

 

「自分はできる」と言いたくなるときって、本当は“自分はできないと思われたくない”ときかもしれません。

 

私自身も、上司やクライアントの前で無意識にそうしていた時期があります。「わかってます、大丈夫です」と言いながら、内心では「失敗したらどうしよう」と冷や汗をかいていたりして。

 

部下の有能アピールを見ると、その“自分を守る姿勢”が少し懐かしく感じることがあります。それは「性格」ではなく、「環境への適応」なんですよね。

 

だから私は、アピールが強い人を見ても、なるべく評価ではなく「背景」を見ようと思っています。そうすると、関わり方が少し柔らかくなる。

 

成果が出ないのは、“やり方”ではなく“前提”のズレ

 

有能アピールが強い人の多くは、「自分で考えてやることこそが評価される」と信じています。一方で、私たち上司の立場からすると、「途中で相談してもらえた方がありがたい」ことも多いですよね。

 

この“評価の前提”がズレたままだと、どれだけ能力があっても成果は出にくくなってしまう。

 

上司は「プロセスを見たい」、部下は「結果を出したい」。どちらも正しいけれど、その違いを言葉にしないまま働いていると、関係が少しずつ噛み合わなくなっていく。

 

私はこのズレを、「すり合わせのチャンス」だと思うようにしています。

 

「すごいね」より「ありがとう」を増やす

 

以前、「褒めても褒めても、部下が満足しない」時期がありました。そのとき気づいたのが、“すごい”と“ありがとう”は違う、ということでした。

 

「すごいね」は評価。「ありがとう」は信頼。

 

有能アピールが強い人は、評価を求めているように見えて、本当は“安心”を求めているんだと思うんです。

 

だから私は最近、「頼りにしてるよ」よりも、「いてくれて助かるよ」と声をかけるようにしています。それだけで、空気がふっとやわらかくなる。

 

人って、評価より関係性の中で力を出す生き物なんですよね。

 

上司もまた、“有能であろう”としている

 

部下の有能アピールを見ていると、「自分も同じようなことしてたな」と思う瞬間があります。

 

上司である私も、部長や役員の前では“ちゃんと見せたい”し、チームがつまずくと「自分のマネジメントが悪いのでは」と焦る。つまり、上司もまた「有能アピール」をしている。

 

だから、アピールが強い部下を見ても、少し優しくなれるんです。「わかるよ、その気持ち」って。

 

人はみんな、誰かに認められたいと思いながら働いています。それを思い出すだけで、関係の温度が変わる気がします。

 

「見せる」より「通じ合う」チームへ

 

有能アピールが強い部下を見て、「また始まったな」と思う日もあります。でも、その“見せ方”の裏には、「ちゃんとやりたい」という誠実さが隠れていることも多い。

 

もし少し余裕があるなら、その誠実さを“伝わる形”に変えるサポートをしてあげたい。

 

「見せる」より「通じ合う」。その方向に少しずつ舵を切るだけで、チームの雰囲気が見違えるほど軽くなることがあります。

 

部下を変えるのではなく、“見え方”の解像度を上げる。それが、私がこの立場でできる一番現実的な関わり方かもしれません。