2026-10-19
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「君、寝ただろ?」と笑われて、僕は背筋が凍った。
「君、寝ただろ?」若い頃、ある役員に、飲み会の席でそう言われました。怒鳴られたわけではありません。彼はビールのジョッキを傾けながら、ニカっと笑っていました。それなのに、僕の背筋は凍りついたのです。
「君、寝ただろ?」
昔、若い頃の話です。ある役員のスピーチ原稿の作成を頼まれました。いわゆるゴーストライターのような仕事です。
ただ、本業のプロジェクトが佳境を迎えていて、どうしても手が回らない。結局、期限ギリギリまでドラフトを見せられず、提出が遅れてしまいました。
その数日後、部の飲み会でその役員と同席した時のことです。彼はビールのジョッキを傾けながら、ニカっと笑ってこう言いました。
「君、あの時、寝ただろ?」
一瞬、何を言われたのか分かりませんでした。サボっていたことを咎められたのか? いいえ、違いました。
「わしも若い頃はそうやって誤魔化したもんや、ははは」
その笑顔を見た瞬間、背筋が凍りつきました。ああ、この人は。
「寝る時間があったなら、なぜ俺のために仕事を終わらせなかったんだ?」「仕事が終わるまで、お前に寝る権利なんてない」。そう言っているんだ、と気づいてしまったからです。
命の搾取は、静かに行われる
ブラックな職場というと、怒号が飛び交ったり、物が飛んできたりする光景をイメージするかもしれません。
でも、本当に怖いのは、こういう「静かな狂気」ではないでしょうか。
「君、寝ただろ?」この言葉の裏にあるのは、「お前の24時間は、すべて会社のもの(俺のもの)だ」という支配の思想です。
一番恐ろしいのは、悪気がないこと
そして一番恐ろしいのは、言った本人に悪気がないこと。むしろ、「自分もそうやってきた」「それがプロの姿勢だ」と信じて疑っていないことです。
これを「プロ意識」や「熱血」という言葉で美化してしまうと、組織は壊れます。
なぜなら、それは「他人の命(時間と健康)」を搾取していることに他ならないからです。
「見えない時間」を想像できる人に
その役員は、すぐにいなくなりました。でも、あの時の冷や汗が出るような感覚は、今でも鮮明に覚えています。
反面教師として、僕は心に誓っています。「人の見えない時間の努力を、想像できる大人でありたい」
部下や仲間からの連絡が途絶えたとき。「サボってるんじゃないか」と疑うのではなく、「必死で戦っているのかもしれない」と想像する。
期限に遅れたとき。「やる気がない」と断じるのではなく、「何かトラブルがあったのかもしれない」と思いを馳せる。
睡眠を「聖域」として守れているか
そして何より。「寝る間を惜しんで働くこと」を、決して美徳にしないこと。
人は機械ではありません。ちゃんと寝て、ちゃんと食べて、人間らしく笑える。それが守られてはじめて、「良い仕事」ができるのだと思います。
あなたは、仲間の「沈黙」をどう解釈しますか?
そして、自分自身の睡眠時間を、ちゃんと「聖域」として守れていますか?
それでは、また。今日は、少し早めに寝てみませんか。

